特色製品

NAS 185N　高耐食スーパーステンレス

特徴

NAS 185N（SUS 312L、UNS S31254）は高クロム高モリブデンを含有する高耐食ステンレス鋼で、高温海水のような苛酷な環境でも優れた耐食性を有し、環境によってはニッケル合金や純チタンに匹敵する耐食性を有する経済性の高いステンレス鋼です。当社では板、帯を供給します。

鋼種・規格


NAS規格JIS G4304/4305 ASTM A240 EN 10088-2/10028-7
NAS 185N SUS 312L UNS S31254 1.4547

化学組成

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 単位 (％)

- C Si Mn P S Ni Cr Mo Cu N
規格値
（SUS 312L）		 ≦0.020 ≦0.80 ≦1.00 ≦0.030 ≦0.015 17.50〜
19.50		 19.00〜
21.00		 6.00〜
7.00		 0.50〜
1.00		 0.16〜
0.25
規格値
（UNS S31254）		 ≦0.020 ≦0.80 ≦1.00 ≦0.030 ≦0.010 17.5〜
18.5		 19.5〜
20.5		 6.0〜
6.5		 0.50〜
1.00		 0.18〜
0.22

物理的性質


　　　　　密　　　　　　度　　　　g/cm3 8.02
　　　　　比　　　　　　熱　　　　J/(kg･k)　　　　　　　　　　20℃ 464
　　　　　固有電気抵抗　　　　μΩ-cm 88.2
　　　　　熱　伝　導　率　　 　　W/(m･k) 12.3
　　　　　平均熱膨張係数　　　10-6/℃　　　　　　　　　20〜200℃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20〜300℃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20〜400℃		 15.6
16.1
16.8
　　　　　縦弾性係数　　　　　 MPa 16.7x104
　　　　　磁　　　　　性 なし
　　　　　融　　　　　点　　　　 ℃ 1360〜1405

　耐すきま腐食性

　　　　　NAS 185N

　耐応力腐食割れ性

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（試験方法：Ｕ曲げ試験片、沸騰MgCl2水溶液、試験時間：300hr）

合金 主要化学成分（wt％） 45%
(154℃)		 42%
(142℃)		 40%
(138℃)		 38%
(134℃)		 35%
(126℃)		 30%
(115℃)		 25%
(110℃)		 20%
(108℃)
SUS 304 18Cr-8Ni × × × × × × × ×
SUS 316L 17Cr-12Ni-2Mo × × × × × × × ○
NAS 64 25Cr-6Ni-3.3Mo-0.16N × × × × × × ○ ○
NAS 155N 18Cr-15Ni-4Mo-3Cu-0.15N × × × × × ○ ○ ○
NAS 185N 20Cr-18Ni-6Mo-0.8Cu-0.2N × × × × ○ ○ ○ ○

　　　　　　　　　　　　　　　　　○：割れなし　×：腐食割れ発生

機械的性質

　　　　　　　　　　　常温の機械的性質

　 0.2% 耐力
(N/mm2)		 引張強さ
(N/mm2)		 伸び
（％）		 硬さ
(Hv) (HRB)
規格値（SUS 312L） ≧300 ≧650 ≧35 ≦230 ≦223
規格値（UNS S31254） Sheet and strip ≧310 ≧690 ≧35 - ≦223
Plate ≧310 ≧655 ≧35 - ≦223
例 冷間圧延板板厚1.5mm 379 744 41 182 -

耐食性

クロム、モリブデン含有量が高いため、高濃度塩素環境において耐孔食性、耐すきま腐食性に非常に優れています。ニッケル含有量が高いため、耐応力腐食割れ性にも優れています。

耐孔食性

　　　　　NAS 185N

加工性

冷間および熱間加工はSUS 304、316等の標準オーステナイト系ステンレス鋼とほぼ同様ですが、冷間加工、熱間加工とも強度が高いことに対する留意が必要です。

溶接性

溶接は、標準オーステナイト系ステンレス鋼と同様、被覆アーク溶接、TIG溶接およびプラズマ溶接が可能です。溶接材料はアロイ276を用いて下さい。予熱や後熱の必要はありません。

切削性

高ニッケル含有ステンレス鋼の特徴として、切削性はオーステナイト系ステンレス鋼に比較して難しいといえますが、ニッケル基合金よりは容易です。切削工具はなるべく超硬工具を用い、送り速度を遅くし、切り込み深さを大きくするのが得策です。

熱処理

NAS 185Nは、オーステナイト系ステンレス鋼ですから、熱処理も標準オーステナイト系ステンレス鋼に準じます。通常用いられる熱処理条件は下記の通りです。

・固溶化熱処理　　1125〜1175℃　水冷

酸洗

酸洗は、硝酸-弗酸の混酸を使用しますが、SUS 304に比較して耐食性が高い分だけスケールは若干落ちにくいので、酸洗前に短時間のアルカリ浸漬を行うか、またもし可能ならばショットブラストをかけると非常に有効です。

用途

・海水環境：海水淡水化装置、海水使用熱交換器、コンデンサーチューブ等

・高濃度塩素イオン環境：パルプ製紙工業、各種漂白装置等

・高濃度食塩含有環境：樹脂製造装置、薬品の反応容器や配管等

　

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